So-net無料ブログ作成
検索選択

ヒッチコックの映画「海外特派員」でオランダ風車を楽しんだ [映画]

NHKハイビジョン放送でヒッチコック監督の映画Foreign Corespondent」邦題=「海外特派員」を鑑賞。面白かった。しかし後味は、日本人としては、苦かった。おしまいのシーンの主人公の台詞が・・・。「世界は暗い。アメリカだけが明るい。灯火を消さないで。軍艦、武器を国の周辺に備えめぐらして戦って・・・」とかいうメッセージ。そして、エンドロールはアメリカの国家の合唱がおごそかに流れるという、プロパガンダ映画に堕してしまっている。1940年に作られた映画ということだから、第二次世界大戦突入直前の当時の世界の世界観からすれば、英国人ヒッチコックにとって、「アメリカだけが救いの地」という気持ちもわからなくは無いが。

「明るい、正義の国アメリカ」に、この映画完成5年後に、原爆を2発落とされた日本に住む私としては・・・。

この「海外特派員」という、ヒッチコック監督にとっては最初のヒット作といえる映画には、その後の彼の映画のテーマになるモチーフがいくつも登場し、それに出会うたびに私は、にんまりしながら見た。「鳥」「高所恐怖症」「美男美女の駆引きで、スリリングな、そしておしゃれな大人の会話」等々。

そして、最近、やはりテレビで見たアンジェイ・ワイダ監督の初期作品「世代」を見たときに感じたことと同じことを感じた。映画監督は、自分の中にいくつかのモチーフがあって、生涯それを追い続けるのだなあ・・・ということ。アンジェイ・ワイダ監督の場合、「世代」の中に登場した、「生涯追い続けるモチーフ」とは、「地下水道」「干してある洗濯物」「抵抗組織」等々。

ヒッチコックもアンジェイ・ワイダも素晴らしい作品をたくさん生み出した映画監督だ。

映画を見ながら歳を重ねてきて、この年齢になると、映画の向こうに監督の人間性を見て、良い面と悪い面と両方見てとって、考えることも、また映画の楽しみだ。

ヒッチコックは、白人優位論者なのかも知れない。彼の生きていた時代は、黒人差別は当たり前のアメリカだったし、彼自身英国出身の白人の誇りを持っていただろうし・・・。
そして、何より、アジア人に向ける目は持っていなかった感じがする。

「ヒッチコックの映画に登場するヒロインは、白人の青い目の金髪美女ばかり・・・。その代表がグレース・ケリーであり、ティッピー・ヘドレンだ」との説が巷にあるが、その通りだ思っている。もっともこの「海外特派員」という映画に登場したヒロインは金髪碧眼ではないタイプだったが・・・。まだ、自分色が決まってない、若い頃のヒッチコックだったからかも。
とにかく白人優位の社会の「良かった時代」の終焉に、生きた人だったという感じがする。あの時代だからこそ、出た監督なのだ。
しかし、「白人優位観の上に立っていた人ヒッチコック」を今確認したとしたところで、彼の作品の輝きが損なわれることはない。

「海外特派員」という映画からは、76年後の現在に生きるアジア人の私にとっても、汲めども尽きぬ楽しみを見出すことが出来る。

オランダの風車の風景と、そして風車の中の構造は、それだけで生活史の勉強になった。それにあのオランダの風車の立つ風景はさながら一幅の名画だ。

また、要人が殺されたシーンの雨の中の黒い傘の波。そこを逃げる犯人の足跡を傘の波の揺れで表現するなんて、なんと面白い発想をしたことか!
主人公が何度も帽子をなくしたり風に飛ばしたり、帽子に絡むエピソードも多く、男が皆帽子をかぶっていた時代という、風俗研究も出来る。本当に細部まで、面白さこれでもかというほど入念に積み上げられた映画なのである。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

【映画】海外特派員(【@らんだむレビューなう!】 Multi Culture Review Blog 2011-01-07 22:39)

『海外特派員』(1940年・監督:アルフレッド・ヒッチコック) ヒッチコックは1925年の『快楽の園』から遺作となる76年の『ファミリー・プロット』まで、57本の作品を撮っているが、ワ

この記事のトラックバックURL:

関連リンク

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。